サイトのアクセス解析を見せていただくと、ほぼ例外なく上位に入るページがあります。トップページでもサービス紹介でもなく、会社概要です。それにもかかわらず、内容が数行で終わっているサイトは少なくありません。今回は、会社概要に何を書くべきか、そして省略したときに実際に何が起きるかを整理します。
会社概要を見ているのは「買う直前の人」ではない
まず誤解を解いておきたいのですが、会社概要を熱心に読むのは、商品に興味を持った人だけではありません。
- 新規取引の前に、相手企業の実在性と規模を確認する購買担当
- 与信審査の参考資料として事業内容を確認する金融機関
- 応募先が信用できる会社かを確かめる求職者
- 社内稟議を通すために会社情報を転記する担当者
いずれもあなたの会社を評価する立場の人です。ここで情報が足りないと、商談の中身以前に減点されます。
会社概要は、売り込むページではない。調べに来た人を安心させて帰すためのページである。
最低限そろえるべき9項目
業種を問わず、次の項目は書いておくべきです。
| 項目 | 注意点 |
|---|---|
| 会社名・屋号 | 登記上の正式名称。略称のみは避ける |
| 代表者名 | 個人事業でも記載する |
| 所在地 | 番地・建物名・部屋番号まで |
| 設立年月 | 個人事業なら開業年 |
| 資本金 | 法人の場合。少額でも記載したほうがよい |
| 従業員数 | 「代表1名」でも構わない |
| 事業内容 | 抽象語ではなく具体的な業務名で |
| 連絡先 | 電話番号とメールアドレス |
| 許認可・登録番号 | 該当業種は必須 |
省略すると、その場で候補から外れる
住所が番地までない
「東京都港区」までしか書かれていないサイトは、所在地を隠していると受け取られます。特に法人相手の取引では、請求書や契約書の住所と照合されるため、ここが曖昧だと確認の手間が発生し、それだけで後回しにされます。
代表者名がない
代表者名は、登記情報と照合できる数少ない情報です。記載がないと「調べられたくない事情があるのか」という疑念を生みます。会社概要に書いていない情報は、隠していると解釈されるのが実務の前提です。
許認可番号がない
建設業許可、宅地建物取引業免許、人材派遣事業の許可、古物商許可、産業廃棄物処理業の許可。該当する業種では、番号の記載が資格証明そのものです。発注側が行政のデータベースで照合するため、番号がないと確認作業に進めません。
電話番号を載せるかどうか
小規模な事業者ほど悩む点です。営業電話を避けたいという理由でフォームのみにする判断もありますが、法人相手の商談では電話番号がないこと自体が不利に働きます。急ぎの確認ができない相手は、候補から外されやすくなります。
折衷案として、電話番号を載せたうえで受付時間を明記し、「営業のお電話はお断りしています」と添えておく方法があります。これだけで不要な着信は目に見えて減ります。
数字を入れると説得力が変わる
項目を埋めるだけでなく、判断材料になる数字を足すと効果が上がります。
- 対応エリア:「〇〇県全域と、隣接3県まで対応」
- 取引実績:「年間の受注件数」「取引社数」
- 設備・体制:「〇〇を2台保有」「有資格者3名在籍」
- 主要取引先:出せる範囲で業種と規模を記載
実績の見せ方に迷う場合は、実績・事例ページの作り方もあわせてご覧ください。取引先名を出せないケースの書き方をまとめています。
更新が止まりやすい項目に注意
会社概要は一度作ると放置されがちですが、次の項目は変化します。
- 従業員数(増減)
- 資本金(増資)
- 許認可の有効期限と更新後の番号
- 移転後の住所と電話番号
- 取引銀行の統廃合による名称変更
特に移転後も旧住所が残っている状態は、名刺や請求書との不一致を生み、経理担当者に確認の手間をかけます。年に一度、決算のタイミングで見直す運用にしておくと安全です。
個人事業主でも書ける
法人でなければ書けない、ということはありません。資本金の代わりに開業年を、従業員数は「代表1名」と明記すれば十分です。むしろ規模を正直に書いているほうが信用されます。小さく見られたくないという理由で情報を伏せると、逆に実体がない印象を与えます。
書くべきでないのは、事実と異なる情報だけです。実績を大きく見せる表現や、対応していない業務の列挙は、確認された時点で信用を失います。
逆に「書きすぎ」で読まれなくなるケース
情報は足りないほうが問題ですが、詰め込みすぎて読まれなくなる例もあります。
創業からの沿革が年表で30行続いている、経営理念が長文で並んでいる、代表の生い立ちが数千字書かれている——こうした構成では、確認したい項目にたどり着く前に離脱されます。
対処はシンプルで、上半分に事実の一覧表、下半分に沿革や理念という順序にすることです。調べに来た人は表だけ見て帰り、興味を持った人だけが下まで読みます。どちらの読者も満たせます。
沿革に書く価値があるもの
- 移転・増資・法人成りなど、規模の変化が分かる出来事
- 許認可の取得、資格者の増員
- 新事業や新サービスの開始
逆に、社内イベントや細かな人事は、読み手の判断材料になりません。
会社概要から次のページへつなぐ
会社概要は確認のためのページですが、そこで終わらせる必要はありません。確認が済んだ人は、次に「何ができる会社なのか」を見たがります。
- 事業内容の各項目から、サービスページへリンクする
- 「主な取引実績」から実績ページへリンクする
- ページ下部に問い合わせへの導線を置く
会社概要は多くのサイトでアクセス上位のページです。ここに出口がないと、せっかくの訪問が行き止まりになります。
検索エンジンにも会社情報を伝える
会社概要に書いた情報は、構造化データ(schema.org)として記述しておくと、検索エンジンや生成AIが会社情報として認識しやすくなります。社名・住所・電話番号・事業内容といった項目を、機械が読める形で持たせておく処理です。
指名検索されたときの表示や、AIに事業内容を尋ねられたときの回答精度に関わる部分なので、人間向けの記述と機械向けの記述を同じ内容で揃えておくのが理想です。
公開前チェックリスト
- 所在地は番地・建物名・部屋番号まで書いてあるか
- 代表者名が記載されているか
- 該当する許認可番号を載せているか
- 事業内容が具体的な業務名で書かれているか
- 電話番号と受付時間が明記されているか
- 名刺・請求書・登記情報と表記が一致しているか
- 移転や増資の後、内容を更新したか
- サービスページ・実績・問い合わせへの導線があるか
まとめ
会社概要は、デザインを凝る必要も、長文を書く必要もありません。必要な項目が省略なく、事実として書かれていること。それだけで、与信・採用・稟議のすべての場面で減点されなくなります。
会社概要を含めたサイト全体の信頼性の高め方は中小企業の信頼性を上げるコツで詳しく扱っています。現在のサイトに何が足りないかの診断はお問い合わせより承ります。