Column / 保守・運用
保守・運用2026-04-24

ホームページ保守は何を頼めるのか|範囲と相場

「保守は月いくらですか」というご質問をよくいただきます。しかし金額より先に確認すべきことがあります。保守という言葉が指す範囲が、会社によってまったく違うからです。同じ月1万円でも、中身が3倍違うことは普通にあります。今回は、保守の範囲と相場を整理します。

「保守」という言葉には定義がない

保守、運用、管理、メンテナンス。これらの言葉に業界標準の定義はありません。そのため、次のような食い違いが起きます。

金額の比較をする前に、何が含まれているかを一覧で確認することが先です。

保守の見積もりで比べるべきは金額ではない。同じ作業を頼んだとき、追加料金が発生するかどうかである。

保守に含まれる作業の分類

保守の中身は、大きく4つに分かれます。

1. 止めないための作業(守り)

サイトを維持するための最低限の作業です。これだけを対象にしたプランが最も安価で、月5,000円前後から存在します。

2. 内容を変える作業(更新)

ここは「月何回まで」「1回あたり何分まで」という上限で価格が決まります。上限の書き方が曖昧な契約は、後でもめる原因になります。

3. 見る作業(分析)

4. 直す作業(改善)

3と4が含まれるかどうかで、金額は大きく変わります。

相場の目安

中小企業向けの一般的な価格帯を整理すると、次のようになります。

月額主な内容
〜5,000円更新・監視・バックアップ確認のみ。内容変更は別料金
5,000〜10,000円上記+軽微な更新が月数回まで
10,000〜30,000円上記+月次レポート、軽微な改修
30,000円〜改善提案と施策の実施まで含む

注意が必要なのは、極端に安いプランです。月1,000〜2,000円で「保守」と称するものは、実質的にサーバー代の代行か、何も作業していないことがあります。逆に高額なプランでも、作業実績が報告されていなければ同じことです。

含まれないことが多い項目

見積もり時に確認しておきたい、対象外になりがちな項目です。

  1. サーバー・ドメインの費用そのもの
  2. デザインの全面変更、ページの新規追加
  3. 問い合わせフォームなど機能の新規開発
  4. 原稿の執筆、写真撮影
  5. 他社が制作したサイトの不具合対応
  6. 改ざんされた場合の復旧作業
  7. CMSのメジャーバージョン更新に伴う大規模な改修

特に6番は重要です。通常の保守と、事故後の復旧は別の作業として扱われるのが一般的で、復旧は実費精算になることが多くあります。対応可否と概算費用を、契約前に確認しておいてください。

自社でやる場合との比較

保守作業は、技術的には自社でも可能です。判断材料として、現実的な工数を挙げます。

つまり通常時は月1時間程度です。これだけなら自社対応も十分に現実的です。

分かれ目は「不具合が起きたとき」です。更新後に表示が崩れた、管理画面に入れなくなった、という場面で、社内に対応できる人がいるかどうか。ここで止まると、復旧までサイトが放置されます。

保守費用は作業代というより、止まったときに動く人を確保しておく費用と考えるのが実態に近いと思います。

制作会社と保守会社は同じでなくてよい

「作った会社に保守も頼むもの」と考えられがちですが、必ずしもそうではありません。制作と保守は必要な能力が異なり、得意分野も分かれます。

同じ会社に任せる利点は、構造を理解しているぶん対応が速いこと。分ける利点は、制作会社が対応できなくなった場合にサイトが止まらないこと、そして第三者の目で状態を確認してもらえることです。

判断の目安としては、制作会社と連絡が取りづらい状態が続いているなら、保守だけ切り離すことを検討してよいと思います。その際、サーバーとドメインの管理権限が自社にあるかを先に確認してください。

「何も起きていない月」の価値

保守契約でよく聞かれるのが、「今月は何もなかったのに、料金が発生するのか」という疑問です。

率直に言えば、保守は何も起きなかった月が成功している月です。更新を当てて脆弱性を塞ぎ、バックアップが取れていることを確認した結果として、何も起きていません。火災保険と同じ構造で、使わなかったことが損ではありません。

ただし、それを納得してもらうには報告が必要です。実施した作業と確認結果が月次で共有されていれば、「何もなかった」ではなく「維持できていた」と分かります。報告のない保守契約は、価格の妥当性を検証できません。

依頼するときの伝え方

保守契約をしていても、依頼の仕方で作業時間は変わります。

特に最後は効果が大きく、1件ずつ小刻みに依頼すると回数の上限を消費してしまいます。週に一度まとめて送る運用にすると、同じ料金でより多くの修正が入ります。

契約前に確認する7項目

  1. 対応する作業の一覧と、対象外の作業
  2. 更新作業の回数・時間の上限と、超過時の料金
  3. 依頼から着手までの目安日数
  4. 緊急時(サイト停止・改ざん)の対応可否と費用
  5. 報告の有無と頻度
  6. 最低契約期間と解約の条件
  7. 契約終了時に、データと管理権限を引き渡してもらえるか

7番は見落とされがちですが、重要です。解約時にサーバーやドメインの管理権限が渡されないと、事実上その業者から離れられなくなります。契約前に明文化しておいてください。

更新頻度が低いサイトの選択肢

年に数回しか更新しない会社案内サイトであれば、そもそも動的な仕組みを持たない構成にするという方法もあります。CMSを使わない静的なサイトであれば、更新作業もセキュリティ対策も大幅に減り、保守の必要性自体が小さくなります。

考え方はワードプレスは危険?セキュリティの弱点で扱っています。バックアップ体制についてはバックアップは「取っただけ」では戻せないをご覧ください。

まとめ

保守を比較するときは、金額ではなく作業一覧で比べること。そして「止まったときに誰が動くのか」を契約前に確認しておくこと。この2点で、後のトラブルはほぼ防げます。

当スタジオでは、作業範囲と上限を明示した保守プランを月5,000円からご用意しています。現在ご契約中の保守内容が適正かどうかのご相談も承ります。お問い合わせよりお気軽にどうぞ。

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