求人媒体に出稿しているのに応募が集まらない。あるいは応募は来るが、面接まで進まない。人手不足が続くなかで、多くの中小企業が同じ壁に当たっています。媒体の掲載料を上げる前に、確認していただきたいことがあります。応募者は、媒体を見たあとに必ず社名で検索しているという事実です。
応募者の行動は2段階になっている
求人媒体の役割は「見つけてもらうこと」です。しかし応募ボタンを押すかどうかの判断は、その場で完結していません。
- 媒体で求人を見つける
- 社名で検索し、自社サイトを見る
- 応募するかを決める
この2番目で情報が出てこない、あるいはサイトが数年前のまま止まっていると、媒体でどれだけ良い条件を出していても、そこで離脱されます。掲載料を追加しても、この段階の離脱は減りません。
求人媒体は入口であり、判断の場ではない。決めているのは、自社サイトを見たあとである。
媒体に書けないことを、自社サイトで書く
求人媒体は文字数とフォーマットが決まっているため、書ける内容に限界があります。役割分担はこうなります。
| 求人媒体 | 自社の採用ページ | |
|---|---|---|
| 役割 | 見つけてもらう | 納得して応募してもらう |
| 分量 | 限られる | 制限なし |
| 得意なこと | 条件の比較 | 雰囲気・人・仕事の中身 |
| 更新 | 掲載期間中のみ | いつでも |
つまり自社サイトで書くべきは、条件表では伝わらない部分です。
採用ページに載せる6項目
1. 仕事の具体的な中身
「営業職」ではなく、1日の流れを時系列で書きます。何時に出社し、誰と、どんな作業をするのか。入社後の自分を想像できるかどうかが、応募の決め手になります。
2. 働いている人の様子
社員紹介は、経歴よりも「入社の理由」と「今の仕事で難しいこと」を書いたほうが読まれます。良いことばかり並んだ社員紹介は、かえって信用されません。
3. 待遇の詳細
媒体に書ききれない部分を補います。残業の実態、休日の取りやすさ、賞与の実績、昇給の考え方。曖昧なままにしておくと、応募者は必ず「悪いほう」に想像します。
4. 未経験者の受け入れ体制
未経験可と書くだけでは伝わりません。教育期間の長さ、最初に任せる仕事、フォローする担当者の有無まで書くと、応募のハードルが下がります。
5. 会社の現在地
事業がどの方向に向かっているか。設備投資、新規事業、取引先の広がり。将来性を判断する材料は、求職者が最も知りたいことのひとつです。
6. 応募後の流れ
書類選考にかかる日数、面接の回数、結果連絡の時期。ここが不明確だと、応募そのものをためらわせます。
写真は「社内」を撮る
採用ページで素材写真を使うと、その瞬間に嘘くさくなります。スマートフォンで撮ったものでも構わないので、実際の職場を写してください。
- 作業している現場
- 事務所の様子
- 使っている設備や車両
- 休憩スペース
きれいに撮る必要はありません。実在することが伝われば十分です。人物を写す場合は、本人の同意を取り、退職した場合の差し替え運用も決めておきます。
更新が止まると、逆効果になる
採用ページで最も多い失敗は、作ったあと放置されることです。
- 2年前の募集職種が残っている
- 「現在募集しておりません」のまま更新されていない
- 社員紹介に退職者が載っている
応募者はこれを見て「この会社は動いていない」と判断します。募集していない期間も、ページ自体は生かしておくのが正解です。募集状況の一行だけを更新し、仕事内容や社員紹介は残しておけば、次の募集時にすぐ再開できます。
応募の「質」を上げる書き方
応募数だけを追うと、面接の手間が増えるだけで終わります。質を上げたい場合は、向いていない人を先に書くのが有効です。
- 「一人で黙々と進める時間が長いため、常に誰かと相談したい方には向きません」
- 「繁忙期は残業が月20時間程度発生します」
一見マイナスですが、これを読んで応募してきた人は前提を理解しています。結果として面接の通過率が上がり、入社後の早期離職も減ります。
応募フォームで落とさない
採用ページを読み込んだ人が、最後のフォームで離脱するのは最ももったいない状態です。
- 入力項目は氏名・連絡先・応募職種・自由記入の4つに絞る
- 履歴書の添付を必須にしない(面接時でよい)
- 「まずは話を聞いてみたい」という選択肢を用意する
- スマートフォンで入力しやすいか実機で確認する
応募は転職活動中の夜間や移動中に行われることが多く、その大半がスマートフォンです。パソコンでしか確認していないフォームは、実際には入力しづらいことがあります。
フォームの設計そのものについては問い合わせフォームで離脱を減らすで詳しく扱っています。
家族が見ていることを忘れない
見落とされがちですが、応募者本人だけがサイトを見ているわけではありません。特に若年層の就職や転職では、家族が会社名を検索して確認しているケースが珍しくありません。
このとき見られるのは、採用ページよりもむしろ会社概要と事業内容です。所在地、設立年、何をしている会社なのか。ここが分かりやすく書かれているだけで、家族の反対で辞退されるという事態を減らせます。
求人媒体と自社ページ、どちらにお金をかけるか
結論から言えば、先に自社ページを整えたほうが費用対効果が高いと考えています。
求人媒体の掲載料は掲載期間が終われば消えます。一方、採用ページは一度作れば残り、募集のたびに使えます。媒体のプランを一段階上げる費用で採用ページを作れるのであれば、そちらを優先する判断は十分に合理的です。
ハローワークを併用している場合はさらに顕著です。ハローワークの求人票は情報量が少なく、応募者はほぼ確実に会社名で検索します。求人票に自社サイトのURLを記載しておくだけでも、応募前の離脱は減ります。
効果をどう測るか
採用ページを作ったあと、次の3つを見ます。
- 採用ページの閲覧数(募集期間中とそれ以外で比較する)
- 応募フォームまで到達した人数
- 実際の応募数と、面接に進んだ割合
閲覧はあるのに応募がない場合は、待遇か仕事内容の書き方に原因があります。逆に応募はあるが面接に進まない場合は、書いている内容と実態にずれがある可能性を疑います。
応募者に「何を見て応募したか」を面接で聞くのが、最も確実な検証方法です。数回聞けば、どのページのどの記述が効いているかが分かります。
会社概要との連携
採用ページを見た人は、ほぼ必ず会社概要も確認します。設立年、資本金、従業員数、所在地。ここが薄いと、採用ページの内容まで疑われます。書くべき項目は会社概要ページの書き方にまとめています。
まとめ
採用ページの役割は、応募者を集めることではなく、媒体で興味を持った人を離脱させないことです。仕事の中身、人、待遇の実態、そして向いていない人まで正直に書く。掲載料を上げるより、こちらのほうが確実に効きます。
サイト全体の信頼性の考え方は中小企業の信頼性を上げるコツで扱っています。採用ページの新規作成や既存ページの見直しはお問い合わせよりご相談ください。